業界未経験からITエンジニアを目指す人向けのアピール方法
この記事では未経験から IT エンジニアとして就職を目指している方に向けて、実績 0 あるいは限られた実績が少しでも確実に伝わる方法をご紹介します。
この記事での「未経験」とは IT エンジニアとして働いたことがなく、大学や専門学校で IT 分野を専攻する機会に恵まれなかった方を含みます。
年齢や学歴、もちろん性別にも依存しません。
ご紹介する方法は私自身のキャリアと採用経験を元にしており、また周りの優れた IT エンジニアの方の活動を参考にさせていただいています。
私自身は決して世界有数のスキルも伝説的な実績も持たないごく普通の IT エンジニアです。
しかし業界で 10 年以上の経験を積むことができており、幸いにも今も現役で IT エンジニアとして職を得ています。
日本を想定してはいますが、方法や考え方は国や地域もそれほど限定しないと考えています。
おすすめするアピール方法
あなたのことを魅力的に伝えることは常に大事です。
もし、あなた自身がまだあまり実績を持っていないと感じているのであれば、なおのこと限られた実績を余すことなく伝えられる方法が必要です。
しかしあなたは「私には大した実績もないしアピールも得意ではない」と思われるかもしれません。
実際、アピールが得意ではない人も多くおられ、私もそんな 1 人です。
あなたもかつて私が感じたように「もっとアピールが上手ければ」とつらい気持ちになったことがあるかもしれません。
しかし一方で過ぎたアピールは身を滅ぼすこともありますし、多くの企業はアピールが上手な人ではなく実直な人を求めています。
私がお勧めするアピール方法は次の通りですが、どの方法から始めてもよく、またどの方法もごく少ない費用で始められます。
そしてどの方法も努力が自動的に反映されますので、あなたが身につけた力を理解してもらう機会が格段に増えます。
GitHub の無償アカウントを取得し、書いたコードを公開すること
GitHub は極めて有名なソースコードを管理する Web サービスで無償で多くの機能が使えます。
GitHub は Git というバージョン管理システムを使いやすくする多くの機能を提供します。
そして Git と GitHub は世界中の IT 開発者が使っています。
あなたが普段使っている Web サービスやスマートフォンアプリ、あるいはそれらを支えている技術は、そのいくつもが GitHub 上で開発されていることでしょう。
あなたが GitHub を使ったことがないのであれば、まずは無償アカウントを作ることをお勧めします。
またもし過去に GitHub アカウントを作って今は使っていないのであれば、再度ログインしてみましょう。
そしてまずは “repository” を 1 つ作り、練習やサンプルコードでも構いませんのでコードを git commit
して GitHub に git push
してみましょう。
もし “repository” や git commit
, git push
といったコマンドを知らなかったとしても何も問題はありません。
これから学べば良いのです。
次に挙げる入門書はとてもわかりやすく書かれており、初めて Git を使う方にお勧めです。
- いちばんやさしい Git&GitHub の教本(Amazon.co.jp)
- わかばちゃんと学ぶ Git 使い方入門(Amazon.co.jp)
GitHub ではコードの集まりである repository を public にするか private にするかを設定できます。
public に設定すれば世界中だれでも repository の内容を見ることができます。
private に設定すれば、repository の内容はあなたやあなたが指定した人しか見ることができません。
しかしこれは後から変更できるので、もしあなたが自分の書いたコードを世界に公開することに抵抗があるなら、最初は private に設定しておいても構いません。
ただし応募書類に GitHub repository の URL を書くとき、それが public に設定されているかは確認しましょう。
private のままではせっかくのコードを採用担当者が確認できずに機会を逃すことになります。
ところで GitHub はどのようにあなたの努力を自動的に反映してくれるのでしょう。
GitHub にはあなたのアクティビティを示す機能があり、あなたの日々の努力を代弁してくれます。
私の GitHub でのアクティビティを例にしましょう。
このようなカラフルな領域があり、あなたのアクティビティに応じて色が深くなります。
これは GitHub で活動を始めたあなたのモチベーションを保ち、あなたの日々の努力を示す手助けをしてくれます。
Web サイトを構築し公開すること
今日、自分自身の Web サイトを持っている人は多くおり、あなたもすでに持っているかもしれません。
Web サイトを公開すること、またその Web サイトを構築/運用することはいずれも良いアピールとなるでしょう。
Web サイトを公開するメリット
応募書類に Web サイトの URL を 1 つ記載するだけで、書類の枠内では伝えきれないあなたについての情報を採用担当者に伝えることができます。
もしあなたが日々の努力などを Web サイト上で公開しているのであれば、それは良いアピールにもなるでしょう。
例えば次のようなコンテンツはあなたのことを良く伝えてくれるでしょう。
- 学習内容の記録
- 書籍やサンプルコードを元にしたあなたなりの解説
- 興味や疑問を持ったことの調査方法と結果
またもしあなたがテキストよりも動画の方がコンテンツを作りやすいと感じるのであれば YouTube での動画公開や、その動画をあなたの Web サイトに埋め込むことも良い方法です。
Web サイトを構築/運用するメリット
Web サイトを公開するためには、原理的には Web フロントエンド〜IT インフラまでの広い技術が必要です。
もしあなたが Web サイトのコンテンツ以外にも手を広げて、できる範囲で Web サイト公開のためのシステムを構築するなら、それは良いアピールとなるでしょう。
例えば前述の GitHub アカウントで開設できる GitHub Pages は無償で Web サイトを構築し運用できます。
あるいは他にも無償あるいは月あたり 1 杯のコーヒーにも満たないような額であなたの Web サイトを手軽に構築し運用を始めることができるクラウドサービスがあります。
次のようなサービスは有名かつ安価です。
また、もし年間 1000 円〜数千円程度の費用を許容できるのであれば次のようなサービスで、あなたご自身や好みの名前でドメインを取得し Web サイトに使うことができます。
これらを使った Web サイト構築に挑戦すると成果がそのままアピールになります。
仮に作った Web サイトの内容が応募しているポジションに関係なかったとしても、「xx が好きなので勉強を兼ねて xx について紹介する Web サイトを作りました。システム構成は〜」と話せることは面接でも良い話題になることでしょう。
資格取得
現在のところ IT 開発者になる上で資格は必須ではありません。
しかしいくつかの資格は、あなたの努力と専門分野への理解を示す上で役立つ可能性があります。
次の 2 つは広く IT 開発職全般でおすすめできる試験です。
また民間の資格であれば、次に挙げるような著名なクラウドプラットフォームの認定資格は有用でしょう。
(Microsoft Azure の資格についてどなたか教えてください)
しかしながら事実として大学や大学院での専門分野の成績ほど有用な”資格”も存在しません。
これは目を背けたくなるかもしれませんが真実です。
もしあなたに進学や進路選択の機会があるなら、それに真剣に打ち込むことを強くおすすめします。
さいごに
本記事では未経験から IT エンジニアとして就職を目指している方に向けた、効率的で効果的なアピール方法をご紹介しました。
もしかするとご紹介した方法は今のあなたにとって難しく感じるかもしれません。
また、ご紹介した方法を実現するために学習が必要な場合もあるでしょう。
しかし私がおすすめしたアピール方法はいずれも 2020 年代の IT エンジニアとしてごく一般的なスキルで実現できます。
つまり、就職してから身につけるか、身につけてから就職するかの違いしかありません。
身に付けることで希望のポジションに就ける可能性が増し、就職後も活用できるのであれば、少しでも早く身に付けた方が有利なのは間違いありません。
本記事でご紹介した方法はいずれも甘い耳に心地よい方法ではないかもしれません。
これらの方法の実践には依然として日々の積み重ねが必要ですし、1 ヶ月後に 1000 万円稼げるといった夢のようなことは起こりません。
しかし IT エンジニアとしてキャリアを築くべく歩み始めた方の初期の指針にはなると考えています。
もしこの記事が、IT エンジニアになりたいと強く願い、日々わからないながらも模索しておられるあなたにとって参考になれば幸いです。