私的ソフトウェア開発用ディスプレイ選択のポイント
時は 2020 年 3 月、日本全国空前の WFH(在宅勤務)ブームで、自宅の作業環境を整えている方も多いのではないでしょうか。
IT エンジニアリングをされている方は数枚のディスプレイを並べて作業を行なっているかもしれません。私もその一人です。
なお、「何インチのディスプレイを何枚使うと一番生産性が上がるか」には個人差があり枚数が多い/少ないからダメ、サイズが大きい/小さいから優れている、といった話ではありませんのでご理解をお願いします。
体質、相性、慣れなどにより、13 インチのノート PC だけでバリバリ開発される方もおられれば、サイズが大きければ大きいほど生産性が上がると言う方もおられます。
私は枚数が多ければ多いほど作業しやすいです。
多くの職場で多様性が理解され、諸条件の許す範囲で多くの方が一番作業しやすい環境を得られることを願っています。
My Environments
私の場合ですが、職場ではこのような環境で仕事をさせていただいています。
ディスプレイが4k27インチになったので仕事してる風を装いやすくなった pic.twitter.com/xEd1jsn2Nw
— Hidenori Matsuki (@mazgi) May 31, 2019
自宅についてはお値打ちなディスプレイを DIY で壁に付けており、こちらの記事に作り方含めて書いています。
その後さらなる DIY で進化しました。
Why I Did This:
普段 AWS やコンテナの有益な情報をたくさん公開してくださっている @toricls
さんがディスプレイ情報を求めておられたので、日頃のお礼に個人的に良かった製品や選定の考え方を書いてみます。
外付けモニタについてここ数日でみなさまから寄せられた案をリストにしてみた
— Tori Hara (@toricls) March 6, 2020
// ギフトくれという意味ではありません
/ "WFHの知見を集めるウィッシュリスト" https://t.co/s7k8jEENye
なお PC の種類および OS は Mac 以外の最近の事情がよくわからないので Mac を前提に書いています。
Displays I Recommend
まずディスプレイですが、私は以下を条件にしています。
- 27 インチ
- 4k
- IPS パネル
- HDMI 入力 2 系統以上
- (できれば)DisplayPort 入力
- AC アダプタなし, AC100V 直結
- ベゼル(縁)が薄いこと
まず、サイズと解像度ですが 27 インチ 4k くらいが MacBook Pro や iMac の内蔵ディスプレイと並べても違和感が少ないと感じます。
最近の Mac は(おそらく Windows PC も)解像度が高いので、FullHD くらいの解像度では粗く感じてしまいます。
ソフトウェア開発では特に文字を読むことが多いので、粗い表示は目の疲れに直結します。
サイズは 27 インチ前後、もしくは 24 インチくらいでも内蔵ディスプレイとのサイズ差は少なそうです。
もしかすると、過去に 4k を体験して「4k は字が小さすぎる、細かすぎる」と感じた方がおられるかもしれませんが、最近の OS はディスプレイの物理的な解像度と別に"見た目の解像度"を設定できるので、まず問題になりません。
この例では、ディスプレイの解像度が 4k(3840x2160
)に対して見た目(UI Looks like)は FullHD で表示されており、これは「文字の大きさは FullHD と同じでキメが細かい」表示となります。
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パネルはやはり IPS がほしくなります。
TN や VA も販売されていますが、ディスプレイの物理的なサイズが大きくなっており、個人的に複数枚を並べたい事情もあって視野角の広さは大事です。
なお開発に使うので反応速度などは気にしたことがありません。
HDR は効果を実感したことがないので 2020 年 3 月時点では不要だと感じています。
入力ですが、 HDMI 2 系統以上に加えて DisplayPort(DP) があるととても嬉しいです。
特に Mac mini (2018)ユーザーの方は、4k ディスプレイを最大枚数の 3 枚つなごうとすると2 つは DP(Thunderbolt 3) 接続にする必要があるので注意が必要です。
一方でディスプレイへの USB-C 入力は求めていません。
USB-C 入力可能なディスプレイは機種がまだ少なく価格がやや高いことが理由です。
外観などとしては AC アダプタ不要で AC 電源直結 できることと、 ベゼル が薄いことを求めています。
AC アダプタは取り回しが煩雑でどうしてもレイアウトや掃除の手間が増えます。
ベゼルは、ディスプレイを複数枚並べて使う場合には薄ければ薄いほど違和感が減り集中が途切れづらくなります。
また、今のところ私は アスペクト比(横と縦の比率) は 16:9
の(普通の)ワイドディスプレイを求めており、アスペクト比 21:9
などのいわゆるウルトラワイドディスプレイは選択から外しています。
ウルトラワイドディスプレイに興味はあるのですが、以下の状況により今のところ食指が動きません。
- 解像度が 4k 以下な製品が多く、結果横方向の解像度がやや粗く感じる
- 解像度に対してまだ価格が高いと感じる
ただ、ウルトラワイドディスプレイの選択肢も増えているので、この先機会があれば試してみたいとは思っています。
以下、これらの基準を踏まえて使った経験があるディスプレイのうち、個人的にお勧めできる機種です。
ピボット(90 度回転)対応のスタンドが付いたモデル
いわゆる「ピボット」とは、
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⏬ ⏬ このように回転できるスタンドが付いたモデルです ⏬ ⏬
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ピボットできると例えば Web サイトや電子書籍、行数の多い資料やコンソール出力などを読むときに重宝します。
ただ機種が少なめなことと同じメーカーでもピボット対応のスタンドが付いたモデルは価格がやや高めなことが注意点です。
Dell U2718Q(Amazon.co.jp)
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LG 27UD58P-B(Amazon.co.jp)
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ピボット非対応モデル
ピボット非対応のスタンドにほぼ可動部分がないモデルはタイミングによってかなりお得な価格になっていることがあります。 横長表示のみで問題ない場合や、スタンドを外してディスプレイアームを使う場合などは有力な選択肢となります。
ただ、最近 VESA マウントに対応していないモデルも多いので、ディスプレイアームの利用を予定している場合は注意が必要です。
LG 27UD58-B(販売終了, Amazon.co.jp)
すでに販売終了してしまっていますが載せておきます。後続のモデルは電源直結ではなく AC アダプタ方式になってしまったようです。
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Recommended Supplies
ディスプレイ関連の製品について少し書きます。
特に MacBook(Pro 含む)を使っている場合「USB-C ケーブル 1 本で電源もディスプレイ接続も賄いたい」気持ちになります。
そういう場合、順当に考えると USB-C での電源供給に対応したディスプレイを選択することになるのですが、そのような製品はモデルが少ない上に価格が高めです。
そこでこのような USB-C to HDMI(or DP)アダプタ(Amazon.co.jp)を使うと同等の使い勝手が実現できます。
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このアダプタは写真のようにディスプレイ側に USB-C の電源を接続できるようになっており、別途 USB-C の AC アダプタを接続しておくことで、普段の使い勝手としては「PC に USB-C ケーブル 1 本を抜き差しすればディスプレイが接続でき電源も供給できる」体験ができます。
4k@60Hz での出力に対応している点もポイントです。
もし PC 側が多少ごちゃごちゃしても構わないのであれば、このような USB-C 接続で色々なデバイスを接続できるアダプタ(Amazon.co.jp)を使う方法もあります。
このようなアダプタは有線 LAN や SD カードも扱える製品が多く、これはこれで便利です。
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しかしこの製品を含め映像出力が 4k@30Hz までな製品が多いため注意が必要です。
ソースコードの編集や資料の閲覧であれば 4k@30Hz でもそれほど問題はないかもしれませんが、映像を扱う場合などに気になることがあるようです。
以上、色々な考えや好みがあるとは思いますが、もしどなたかの参考になれば幸いです。